有松鳴海絞りの伝統柄 〜雪花絞り
青い「雪花絞り」はその名の通り、ひとつひとつは雪の結晶のようで、そして雪花が並んだ布は万華鏡のようで、眺めているとつい引き込まれてしまう美しさがあります。涼しげなこの模様は、夏にゆかたにまさにぴったり。

雪花絞りは、板締め絞りの代表的な模様。布を三角形や四角形に折り畳み、それぞれの“辺”を染料に浸すことで、独特の幾何学的な模様が染め出されます。折り畳み方、染める辺の場所、染めのちょっとしたさじ加減(染料の浸透具合)によって、雪の結晶と同じように、ひとつとして同じ模様は出来上がらないのです。

有松鳴海で雪花絞りを作っているのは張正さん。伝統工芸士の鵜飼良彦さん・正己さん兄弟と、奥さん、娘さんが一緒になって、いつも新しい雪花づくりに打ち込んでいます。

右の写真は、なんと明治期にアフリカへ輸出していたという有松鳴海絞り。雪花絞りと注染を重ねているのです。応用・工夫次第でこんな面白いデザインができあがるなんて! SOU・SOUスタッフは刺激をいっぱいもらいました。

雪花絞り
2006.11.15|18:40有松鳴海絞りのことcomments(1)trackbacks(0)
有松鳴海絞りの伝統柄 〜機械蜘蛛絞り
有松の町を歩いていると、「ありまつ」と書かれた暖簾(のれん)に目がいきます。町じゅうがお揃いのこの暖簾、近づいてみると、やっぱり絞り染めで作られていることがわかります。

これは、先に紹介した「手蜘蛛絞り」を、部分的に機械を使って省力化したやり方「機械蜘蛛絞り」で作られたもの。明治42年に考案された、有松鳴海絞りの中では新しい技法です。

時代が江戸から明治へと移ったとき、有松はそれまでもっていた絞り製品の生産と販売の独占権を失い、また鉄道が開通したことにより東海道が廃れ、大きな打撃を受けました。低迷状態を打破するひとつの試みとして、明治から大正にかけて、有松鳴海では絞り染めの機械化がはじまったのです。

「機械蜘蛛絞り」もその際に考案されたもののひとつ。ぐるぐるっと糸を巻きつけるところを、機械が代わりにやってくれます。効率よく絞れるこのやり方で、蜘蛛絞りは庶民にとってぐっと身近なものになりました。

だけど、有松鳴海でいう「機械○△絞り」は、いかめしい“機械”という言葉から私たちが想像するものとはだいぶ違います。手蜘蛛絞りが100%・手、であるのに対して機械蜘蛛絞りは30%・機械、70%・手。そのくらいのイメージでしょうか。ひと絞りひと絞り、手作業を伴うことには変わりありません。

小さな柄が出せる機械蜘蛛絞りは、ころころとかわいらしくて、全て手で括る手蜘蛛絞りとはまた別の味わいがあります。

機械蜘蛛絞り
2006.11.13|20:21有松鳴海絞りのことcomments(0)trackbacks(0)
有松鳴海絞りの伝統柄 〜手蜘蛛絞り
有松でいちばん最初に作られた絞りは、蜘蛛絞り。蜘蛛の巣のように、模様が放射状に浮かび上がったその模様は、粋で、そして少しサイケデリックな印象です。

蜘蛛絞りは、有松の開村まもない江戸初期、豊後の藩士たちが着ている衣服をヒントに、竹田庄九郎が試作を重ねて作り上げた絞り染め。多彩な種類を誇る有松鳴海絞りの中で、もっとも記念碑的意味をもち、そして今でも有松鳴海絞りを代表するものです。

いまこの手蜘蛛絞りができるのは、先に紹介した本間とめ子さんただ一人。
蜘蛛絞りは、ほかの絞り方と違って下絵がありません。蜘蛛の形の大小や並び方を頭の中で組み立てながら、真っ白の布を手の感覚だけでひとつひとつ絞っていきます。そのため、蜘蛛絞りは数ある絞りの技術のなかでも、ひときわ難しいやり方なのです。

手蜘蛛絞り
2006.11.09|09:34有松鳴海絞りのことcomments(0)trackbacks(0)
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